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ココアパウダー等の代替品として用いられる「カロブパウダー」に抗肥満効果!

2021年03月15日掲載

研究?産学

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本研究のポイント

◇肥満モデル動物にカロブパウダー抽出物を摂食させたところ、体重および内臓脂肪重量が有意に減少することおよび脂肪肝が抑制されていることを確認。

◇このメカニズムが3T3-L1前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化抑制に基づくものであることを立証するとともに、その転写抑制の仕組みについてのミクロメカニズムを解明。

概要

水果老虎机_水果机游戏-中彩网官网推荐大学院生活科学研究科?小島 明子准教授、藤田 華澄大学院生(研究当時。現在、株式会社オイシス勤務)ら、青森県立保健大学健康科水果老虎机_水果机游戏-中彩网官网推荐?乗鞍 敏夫准教授、静岡県立大学大学院食品栄養環境科学研究科?熊澤 茂則教授らの研究グループは、ココアパウダーやコーヒーパウダーの代替品としても用いられるカロブパウダー抽出物が抗肥満効果を有することを、細胞レベルおよび動物レベルで解明しました。

研究の内容

内臓脂肪の蓄積は、糖尿病や脂質異常症、高血圧などを誘発し、動脈硬化の起因となり、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な疾患にもつながることが知られています。本研究では、カロブパウダー抽出物による抗肥満効果とその作用メカニズムについて研究することで、肥満予防に繋がる新たな手法の発見を目指しました。

まず、肥満モデルマウスを用いた実験では、高脂肪食を52日間摂食させたマウスの体重は有意に増加した一方で、高脂肪食とカロブパウダー抽出物を同時に摂食させたマウスの体重および内臓脂肪重量は有意に減少したという結果が得られました。さらに、脂肪肝が抑制され、脂肪組織を構成する脂肪細胞のサイズが有意に減少したことが明らかとなりました(図1)。

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次に、カロブパウダー抽出物の抗肥満効果の作用メカニズムを明らかにするために3T3-L1前駆脂肪細胞を用いて研究したところ、カロブパウダー抽出物が、脂肪合成の律速酵素であるグリセロール3-リン酸デヒドロゲナーゼ (GPDH) 活性を抑制することによって細胞内脂肪蓄積量を有意に低下させたことから、3T3-L1前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化を抑制することが明らかになりました(図2)。

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そこで、より詳細な作用メカニズムを解明するために、3T3-L1前駆脂肪細胞が脂肪細胞へ分化するマスターレギュレーターであるC/EBPβ、PPARγ、C/EBPαの転写因子の発現量を遺伝子レベルおよびタンパク質レベルで測定したところ、カロブパウダー抽出物は、分化誘導の直後に発現するC/EBPβ遺伝子の発現量の変化には全く影響しなかった一方で、C/EBPβタンパク質の量を有意に減少させました。さらに、C/EBPβタンパク質によって誘導されるPPARγおよびC/EBPαは、カロブパウダー抽出物によって遺伝子およびタンパク質の量とも減少したことから、脂肪合成の律速酵素であるGPDH活性の低下が誘導されることがわかりました(図3)。

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本研究成果によって、カロブパウダー抽出物の抗肥満効果は、転写後のC/EBPβタンパク質の量を調節することによる脂肪合成制御に基づくものであることが解明されました。

今後の展開

カロブパウダーはココアパウダーやコーヒーパウダーの代替品として用いられてきましたが、本研究成果によって新しい生理作用が見出されたことから、生活習慣病の予防につながる食品への展開が期待されます。さらに、今後の脂肪細胞の分化における転写因子カスケードの研究の発展につながることも期待されます。

掲載雑誌情報

【掲 載 日】2021年3月8日
【発表雑誌】PLOS ONE (IF=2.740)
【論 文 名】 Carob pod polyphenols suppress the differentiation of adipocytes through posttranscriptional regulation of C/EBPb
【著??? 者】Kasumi Fujita1, Toshio Norikura2, Isao Matsui-Yuasa1, Shigenori Kumazawa3, Sari Honda3, Takumi Sonoda4 and Akiko Kojima-Yuasa1*
1
Department of Food and Human Health Sciences, Graduate School of Human Life Science, Osaka City University.
2 Department of Nutrition, Aomori University of Health and Welfare, Aomori.
3 Department of Food and Nutritional Sciences, University of Shizuoka, Shizuoka
4 TAISHO TECHNOS, Co., Ltd., Tokyo.
*: corresponding author

【掲載URL】https://doi.org/10.1371/journal.pone.0248073

?資金情報

科学研究費補助金基盤(C)(15K00832)およびタイショーテクノス株式会社からの共同研究費